🐘被告国(Y) 第1準備書面

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平成31年(ワ)第7514号 損害賠償請求事件
原告 (閲覧制限)
被告 国

第1準備書面

令和元年8月30日


東京地方裁判所民事第49部乙B係 御中

被告指定代理人 今井志津
松田朋子
湯峯奈々子
大野史絵
倉重龍輔
大嶋真理子
陶山敦司
佐藤博行

 被告は,本準備書面において,まず,原告の主張の概要(後記第1)を述べ,原告が主張する立法不作為に基づく国家賠償法(以下「国賠法」という。)上の違法性の判断枠組み(後記第2の1),民法819条2項(以下「本件規定」という。)の合理性(後記第2の2),親権は憲法上保障された人権ではないこと(後記第2の3),本件規定が憲法14条1項に違反するものではないこと(後記第2の4),本件規定が憲法24条2項に違反するものではないこと(後記第2の5)及び本件規定が未成年の子との関係で憲法13条,14条1項及び24条2項に違反するものではないこと(後記第2の6)について述べる。
第1 原告の主張の概要
 原告は,未成年の子に対する親権は,憲法により保障された基本的人権であり,仮に基本的人権でないとしても,尊重されるべき人格的利益であるところ,これに必要以上の制約を課す本件規定が憲法14条1項及び24条2項に違反することは明白であり,さらに,未成年の子との関係で憲法13条,14条1項及び24条2項に違反することも明白であるが,それにもかかわらず,国会が本件規定を改正する立法措置を怠っているから,かかる立法不作為が国賠法1条1項の適用上違法であると主張しているものと考えられる。
第2 被告の主張
1 立法不作為における国賠法上の違法性の判断枠組みについて
 国賠法1条1項にいう「違法」とは,公権力の行使に当たる公務員が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違反することをいう(職務行為基準説)。そして,国会議員の立法行為又は立法不作為が国賠法1条1項の適用上違法となるかどうかは,国会議員の立法過程における行動が個々の国民に対して負う職務上の法的義務に違反したかどうかの問題であり,立法の内容の違憲性の問題とは区別されるべきものである。そして,上記行動についての評価は原則として国民の政治的判断に委ねられるべき事柄であって,仮に当該立法の内容が憲法の規定に違反するものであるとしても,そのゆえに国会議員の立法行為又は立法不作為が直ちに国賠法1条1項の適用上違法の評価を受けるものではない。もっとも,法律の規定が憲法上保障され又は保護されている権利利益を合理的な理由なく制約するものとして憲法の規定に違反するものであることが明白であるにもかかわらず,国会が正当な理由なく長期にわたってその改廃等の立法措置を怠る場合等においては,国会議員の立法過程における行動が上記職務上の法的義務に違反したものとして,例外的に,その立法不作為は,国賠法1条1項の適用上違法の評価を受けることがあると解される(平成27年再婚禁止期問違憲判決参照)。
2 本件規定の合理性
 ⑴ 親権の法的性質について
 親権は,未成年の子を健全な一人前の社会人として育成すべく養育保護する職分であり,そのために親に認められた特殊の法的地位である(乙第2号証。於保不二雄ほか編「新版注釈民法(25)親族⑸〔改訂版〕」53ページ)。
 親権とは「権」という用語を用いてはいるものの,その概念は,民法上の規定された他の権利とは異なる独特のものである。すなわち,未成熟の子と親との関係は非対等なものであるところ,このような非対等な人間関係を,市民法的な権利・義務の概念を用いて規律しようとすることには無理があり,子に対する親の権利というより,親の社会的責務とでもいうべきものである(乙第3号証。内田貴「民法Ⅳ親族・相続(補訂版)」(東京大学出版会)209及び210ページ)。
⑵ 親権の内容
 親権の内容については,民法820条以下に定めがあり,大きく分けて身上監護権(民法820条ないし823条)と財産管理権(民法824条ないし832条)に分かれる。
⑶ 本件規定の合理性
 親権者の定め方については民法818条3項及び819条に規定がある。民法818条3項本文は,婚姻中の親権者に関する規定であり,「親権は,父母の婚姻中は,父母が共同してこれを行う。」として,婚姻中における共同親権共同行使の原則を定めている。
 これに対して,民法819条は離婚又は認知の場合の親権者の定め方に関する規定であり,同条2項(本件規定)は,「裁判上の離婚の場合には,裁判所は,父母の一方を親権者と定める。」として,離婚後は単独親権となる旨を定めている。
 この点,仮に,離婚をする場合に,父母の双方を親権者と定めるとすると,子の教育や医療など,親権者が決定すべきこととされている事項について,父母の間で適時に適切な合意を形成することができず,子自身の利益が害されるおそれがある。離婚した夫婦間の紛争がそのまま離婚後に持ち越された場合には,このようなおそれは特に大きい。したがって,裁判離婚後共同親権制度については,かえって子の福祉に照らして望ましくない事態が生じるおそれがある。
 しかるに,本件規定は,裁判上の離婚をする父母について,裁判所が後見的立場から親権者としての適格性を吟味し,その一方を親権者と定めることにより,子の監護に関わる事項について,適時に適切な決定がされ,これにより,子の利益を保護することにつながるものであり,十分な合理性を有するものである。
⑷ 親権者の変更が可能であること
 民法819条6項は,「子の利益のため必要があると認めるときは,家庭裁判所は,子の親族の請求によって,親権者を他の一方に変更することができる。」と規定しており,裁判上の離婚において親権者と定められなかった親であっても,親権変更の申立てをすることによって親権を再度取得する可能性がある。その意味で,民法819条2項による親権者の指定は終局的・不可逆的なものではない。
⑸ 親権の帰属と面会交流の制限とが無関係であること
 なお,父母が離婚をする場合には,父母が別居し,子は父母の一方と同居することとなることが通常であるから,子と同居しない側の親は,離婚前に比べて子と接触する機会が減少することは避けられない。
 しかし,このことは,親権者として父母の一方が定められる場合も父母の双方が定められる場合も変わりはない。そして,我が国の法制上,親権を有しないことを面会交流の制限理由とする規定は存在しない(この意味で,原告が訴状で引用する新聞記事の記載(「親権のない親は(中略)面会交流も著しく制限されるのが実情だ」(訴状23ページ),「現行制度では親権を持たない親は戸籍上の他人となり,子どもとの面会交流が大きく制限される」(同26ページ)は,誤解を生じさせるおそれのある表現であるといわざるを得ない。)。
3 親権は憲法上保障された人権ではないこと
⑴ 原告は,親権は憲法により保障されている基本的人権であると主張し,その根拠として,①最高裁昭和51年5月21日大法廷判決(以下「旭川学力テスト判決」という。)の判示内容及び②民法820条は親権が基本的人権であることを前提とした規定であることを挙げる(訴状4及び5ページ)。
⑵ しかしながら,答弁書第2の3⑴イ(3ページ)で述べたとおり,訴状において原告の上記主張と旭川学力テスト判決との関連性には触れられておらず,上記主張の根拠は明らかでないが,その点をおくとしても,旭川学力テスト判決は,「親は,子どもに対する自然的関係により,子どもの将来に対して最も深い関心をもち,かつ,配盧をすべき立場にある者として,子どもの教育に対する一定の支配権,すなわち子女の教育の自由を有すると認められるが,このような親の教育の自由は,主として家庭教育等学校外における教育や学校選択の自由にあらわれるものと考えられる」と判示しているのであって,親権が憲法により保障されているものであるとは判示していないから,上記①の主張には理由がない。
⑶ また,答弁書第2の3⑴ウ(4ページ)で述べたとおり,訴状の記載によっても,民法820条は親権が憲法により保障されている基本的人権であることを前提とした規定であるとする原告の主張の根拠は明らかではないが,その点をおくとしても,前述のとおり,親権は親の「職分」や「社会的責務」であると理解されており,民法820条も親権の内容について定めた規定にすぎないから,「権利」と記載されていることの一事をもって,親権が基本的人権であることを前提にした規定であるとは到底いうことができず,上記②の主張にも理由がない。
⑷ したがって,親権が憲法により保障されている基本的人権であるなどという原告の主張はまずもって失当である。
 もっとも,原告は,親権が仮に基本的人権でないとしても,憲法上尊重されるべき人格的利益であるとも主張していることから,以下では,本件規定が憲法に違反するものではないことについて述べる。
4 本件規定が憲法14条1項に違反するものではないこと
 本件規定は,裁判上の離婚に当たり,子の親権者を父母のいずれにするかについては,家庭裁判所が定めるものとしているのであり,父母の間において別異取扱いをしているものではないから,本件規定は憲法14条1項に何ら反するものではない。
 憲法14条違反であるとの原告の主張は,要するに,裁判の結果,裁判の当事者間で親権を得る側と得られない側とが生じるということを述べているにすぎないが,憲法14条1項が,裁判の結果が裁判の当事者間で形式的に平等になることについてまで保障しているものでないことは明らかである。
 したがって,本件規定が憲法14条1項に違反するとの原告の主張は失当である。
5 本件規定が憲法24条2項に違反するものではないこと
⑴ 憲法24条2項は,婚姻及び家族に関する事項について,具体的な制度の構築を,第一次的には国会の合理的な立法裁量に委ねるとともに,その立法に当たっては,同条1項も前提としつつ,個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚すべきであるとする要請,指針を示すことによって,その裁量の限界を画したものといえる。
 他方で,婚姻及び家族に関する事項は,国の伝統や国民感情を含めた社会状況における種々の要因を踏まえつつ,それぞれの時代における夫婦や親子関係についての全体の規律を見据えた総合的な判断を行うことによって定められるべきものである。したがって,憲法24条の要請,指針に応えて具体的にどのような立法措置を講ずるかの選択決定が国会の多方面にわたる検討と判断に委ねられているものであることからすれば,婚姻及び家族に関する法制度を定めた法律の規定が憲法24条に適合するものとして是認されるか否かは,当該法制度の趣旨や同制度を採用することにより生ずる影響につき検討し,当該規定が個人の尊厳と両性の本質的平等の要請に照らして合理性を欠き,国会の立法裁量の範囲を超えるものとみざるを得ないような場合に当たるか否かという観点から判断すべきものとするのが相当である(最高裁平成27年12月16日大法廷判決・平成26年(オ)第1023号参照。以下,同判決を「平成27年夫婦別姓訴訟最判」という。)。
 しかるに,裁判離婚後単独親権制度の趣旨及び親権の帰属と面会交流の制限とが無関係であることは前記2で述べたとおりであり,民法819条2項が個人の尊厳と両性の本質的平等の要請に照らして合理性を欠き,国会の立法裁量の範囲を超えるものとみざるを得ないような場合に当たるとはいえないから,民法819条2項は憲法24条2項に違反するものではない。
 ⑵ この点,原告は,訴状第2の3において,概要①親権は,民法820条において「権利」と記載されているので,本件規定は少なくとも人格的利益を侵害するものである(7ページ),②未成年の子の父母が離婚すると,父母の一方のみが子の親権者となり,もう一方の親は親権を全て失うこととなり,両性の実質的な平等が損なわれる(7及び8ページ),③父母の一方が他方の同意を得ずに未成年の子と共に転居した場合,転居した側の親が離婚に際して親権者に指定されており,かかる子の「連れ去り得」は離婚後単独親権制度が存在するがゆえに生じている〈8及び21ページ),④裁判離婚後は父母が共同親権者となるとした上で,子を現実に養育する者を監護者と指定すれば足りるところ,本件規定は必要以上の制約を課すものである(9ぺージ),⑤裁判離婚後に共同親権を認めたとしても,問題が生じる場合には親権喪失・親権停止及び管理権喪失の制度により段階的な対応が可能であるところ,本件規定は必要以上の制約を課すものである(9及び10ページ),⑥平成23年の民法等改正の際の国会における附帯決議の存在は,本件規定の合理性が失われたことを示している(10ページ),⑦諸外国において離婚後共同親権制度が採用されている(12ないし14ページ),⑧裁判離婚後単独親権制度は,離婚裁判の長期化,ひいては親子関係に悪影響を及ぼしている(21ページ),⑨離婚後単独親権制度は,親の未成年の子に対する保護権を行使不能にしており,児童虐待を防止するには離婚後共同親権制度を採用する必要がある(22ぺージ),⑩政府が離婚後共同親権制度への法改正を検討してぃることは,本件規定の合理性が失われたことを示している(24ないし28ページ〉などとして,本件規定は憲法24条2項に違反すると主張する。
 しかしながら,上記①については,原告のいう「人格的利益」が具体的に何を意味するのか不明であるが,その点をおくとしても,前述のとおり,親権は親の「職分」や「社会的責務」であると理解されており,民法の規定上「権利」と記載されていることの一事をもって,憲法上尊重されるべき親の人格的利益であると評価されるものではない。また,本件規定が合理的であることについては前記2で述べたとおりであるから,そのような本件規定により親権者ではなくなったことをもって,人格的利益が「侵害」されたと評価されるものでもない。
 上記②については,確かに,本件規定の下では,裁判離婚後は,父母の一方が親権者となるのに対して,他方は親権者ではなくなることになるが,それは,家庭裁判所が公平中立な立場からいずれか一方を親権者と定めた結果にすぎないから,本件規定が両性の実質的な平等を損なうものと評価する余地はない。
 上記③については,確かに,父母の一方が他方の同意を得ずに未成年の子と共に転居した場合に,転居した側の親が離婚に際して親権者に指定される事例も一定数存在すると考えられるが,裁判例上,親権者の指定の裁判に当たっては,裁判の直前の監護者が父母のいずれであるかだけでなく,父母の監護能力,精神的・経済的家庭環境(資産,収入,職業,住居,生活態度),居住・教育環境,子に対する愛情の度合い,従来の監護状況,実家の資産,親族の援助の可能性,子の年齢・性別・心身の発育状況・意向,従来の環境への適応状況,父母及び親族との結び付き等諸般の事情が考慮されるとされており(乙第4号証及び乙第5号証。松原正明「家裁における子の親権者・監護権者を定める基準」判例タイムズ747号305ページ,「新基本法コンメンタール親族」(日本評論社)222ページ),裁判の直前の監護者が父母のいずれであるかという点が必ずしも決定的な要素となるわけではない。他方で,父母の一方が,離婚前に,他方の同意を得ずに未成年の子と共に転居する事例には,事例ごとに様々な背景事情があると考えられ,当該事例の発生が離婚後単独親権制度に起因するものであるなどと単純化することは不相当である。さらに,仮に裁判離婚後共同親権制度を導入しても,離婚後に子と同居するのは父母の一方となることが通常であるから,監護者指定の問題はいずれにしても残ることになり,父母の一方が他方の同意を得ずに未成年の子と共に転居するという事態の抑制になるとは一概にはいえない。
 上記④については,本件規定が合理性を有することは上記のとおりであるから,本件規定は,必要以上の制約を課すものであるとの原告の主張は失当である。したがって,同主張は裁判離婚後単独親権制度の合理性を否定する根拠とはいえない。
 上記⑤については,親権喪失等の要件が厳格であることからすると,親権喪失等の制度によって前記2⑶に記載したような裁判離婚後共同親権制度の問題点が解決されることにもならない。
 上記⑥については,原告の引用する附帯決議は,いずれも,親権制度の在り方を検討することを求めているものにすぎず,裁判離婚後共同親権制度を導入すべきであるなどとして一定の方向性を明示しているものではないから,本件規定の合理性が失われたなどとの評価は当たらない。
 上記⑦については,平成27年夫婦別姓訴訟最判において「各国における婚姻や家族の在り方は異なり,これらに関する制度の内容も多様なものが想定されるのであって,諸外国における立法の内容が直ちに我が国における法制度の合理性を否定することにはならない。」と判示されているところ,本件規定が合理的であることについては前記2で述べたとおりである。
 上記⑧については,その根拠自体不明であるが,その点をおくとしても,離婚裁判の長期化には民法770条1項に規定する離婚原因の存否を巡る争い等様々な要因が考えられ,裁判離婚後単独親権制度に起因するとは一概にはいえない。また,答弁書第2の3⑽(9ページ)で述べたとおり,仮に離婚後共同親権制度を導入しても,子の監護者を父母のいずれにするかは引き続き争われ得るのであり,離婚裁判の長期化を防ぐことができるか否かは明らかでない。
 上記⑨については,原告の主張する「保護権」の内容は不明であるが,原告は,離婚後共同親権制度が採用されると,未成年の子と同居していない親が子と接触する機会があたかも増大するかのような理解をしていることがうかがわれる。しかし,その理解が適切でないことは,前記2⑸で述べたとおりである。
 上記⑩については,答弁書第2の3⒀及び⒁(9及び10ページ)で述べたとおり,法務省は,現時点において,離婚後の選択的共同親権制度の導入について具体的な検討を始めた事実はなく,親権制度を見直す民法改正について法制審議会に諮問する具体的な予定もない。
 したがって,本件規定が憲法24条2項に違反するとの原告の主張は失当である。
6 民法819条2項が未成年の子との関係で憲法13条,14条1項及び24条2項に違反するものでもないこと
 原告は,本件規定は,親の不都合を防ぐための制度であって,子の福祉や保護について生じる子の利益を考盧しておらず憲法違反であるとし,具体的には①未成年の子から「両親の共同親権の下で養育される権利」を奪い,それによってその幸福追求権や人格権を侵害するものであるから,憲法13条に違反する,②両親が離婚していない子と両親が離婚した子について,「2人の親権者の内1人を奪う」という意味において合理的な理由なく差別しており,憲法14条1項及び憲法24条2項に違反すると主張する(訴状10ないし12ページ,28ないし32ページ)。
 原告がいう子の幸福追求権や人格権が具体的に何を意味するのかは不明であり,「両親の共同親権の下で養育される権利」の法的根拠も不明であるが,その点をおくとしても,本件規定が子の利益を図るためのものであることは前記2⑶で述べたとおりであり,また,親権の帰属と面会交流の制限とが無関係であることも前記2⑸で述べたとおりである。
 したがって,父母が裁判上の離婚をする場合には裁判所がその一方を親権者と定めるものとする本件規定は,未成年の子の幸福追求権や人格権を侵害するものではなく,また,そうである以上,離婚した父母の未成年の子を合理的な理由なく差別するものでもない。
 よって,本件規定が未成年の子との関係で憲法13条,14条1項及び24条2項に違反するものであるなどという原告の主張も失当である。
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 このように,本件規定は,憲法14条1項及び憲法24条2項に違反するものではなく,また,未成年の子との関係で憲法13条,憲法14条1項及び憲法24条2項に違反するものでもないから,「法律の規定が憲法上保障され又は保護されている権利利益を合理的な理由なく制約するものとして憲法の規定に違反するものであることが明白である」とはいえず,本件規定を改正しない立法不作為が,国賠法1条1項の適用上,違法の評価を受けるものではない。
第3 結論
 以上より、原告の主張はいずれも失当であることから,本件請求は速やかに棄却されるべきである。

以上