🐶原告(X) 陳述書

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陳 述 書


令和元年11月11日




目 次


第1 子ども達に関する決定に現在も将来も関われないこと
1 習い事の決定
2 小学校での非親権者の扱い
第2 子ども達との触れあいの時間を失ったこと
1 面会交流権の脆弱さ
2 面会交流時間の少なさ
第3 児童虐待に対し何もできなかったこと
1 元配偶者による児童虐待
2 児童虐待と親権
第4 子ども達を連れ去られたこと
1 連れ去りによる親権侵害
2 連れ去り後のワンオペ育児
第5 不毛な親権争いが生じたこと
1 離婚訴訟での親権争い
2 親権のための人質交渉
3 「囚人のジレンマ」
4 強制単独親権制度により生じる無理な運用
第6 子ども達の精神的苦痛が親にとって最も大きな苦痛であったこと
1 子ども達の希望が無視されたこと
2 養育時間分担が阻害されたこと
3 親権者がいなくなる危険性
第7 この訴訟の目的について
署名捺印
 
私は、民法819条2項の離婚後強制的単独親権制度(強制単独親権制度)により、長男と二男(以下では二人を「子ども達」といいます。)の親権を失い、精神的苦痛を被りました。私は、子ども達の親権を失い、子ども達に関する決定に関われなくなりました。私は、日々成長していく2人が成人になるまでの人生の判断に、親として関われなくなりました。既に、関わることができなかった事柄も出てきています。また今後も、関われないことが明白である事も多々あります。現在は予想ができませんが、将来関われなくなる事柄もあるでしょう。
さらに申し上げると、私が受けた精神的苦痛は、子ども達に関する決定に関われなくなることだけにとどまりません。また私だけでなく、子ども達や私の元配偶者も、民法819条2項の離婚後強制的単独親権制度により多大な苦痛を受け、それにより、私が受けた精神的苦痛は更に大きなものとなりました。以下において、私が現行の民法819条2項の離婚後強制的単独親権制度によって被った精神的苦痛について、詳しく陳述します。

第1 子ども達に関する決定に現在も将来も関われないこと
1 習い事の決定
 私は、民法819条2項の離婚後強制的単独親権制度により、元配偶者との離婚で子ども達の親権を失ったため、子ども達が、私と元配偶者の離婚後にどこに住むか、またどこの学校に通うかに関する決定に加わることができませんでした。今後も私は、子ども達が今後どのような学校に進学し、どのような人生を送るのかについての決定全般に加わることができません。
たとえば、私は子ども達と関わりを続けるために、私が住む東京近辺に、子ども達が将来も引き続き居住することを希望しています。しかし、もし、離婚後に単独親権者となった私の元配偶者が単独親権を行使して、子ども達を連れて元配偶者の実家である福岡県に引っ越してしまえば、私が子ども達と関わりを持ち続けることは、地理的にかなり困難になります。もしそうなれば、私は子ども達に会えるとしても、夏休みなどの長い休みの時だけ、せいぜい年2回から3回程度になる可能性があります。
さらに言えば、元配偶者は今後、東京や福岡以外に居住する人と再婚するなどして、東京から遠方に住むことも考えられます。外国で生活をすることになる可能性もあるでしょう。その場合、子ども達は、離婚後単独親権者である元親権者による判断だけに従って住む場所が決められることになります。私と子ども達の親子としての関係性に深く関わることであるのに、私は子ども達の住む場所を決める判断に加わることができないのです。
また、私は子ども達の習い事に関する決定にも加わることができなくなりました。私は元配偶者との別居後、面会交流の時に、毎週のように子ども達と野球をして遊び、教えてきました。私にとって、野球を通じた子ども達とのひとときは、かけがえのない貴重な時間でした。その際に、地元の少年野球チームから加入しないかとの勧誘も何度か受けました。その後、元配偶者は子ども達を少年野球チームに参加させました。私は子ども達が少年野球チームに参加するかどうか、さらにどのチームに参加するかという決定には加わることができませんでした。たとえば今後、子ども達にとって良いと思われる指導者を私が知っても、子ども達にその指導者の指導を受けさせることはできません。私は、これからの子ども達と野球との関わりに、親として加わることができないのです。
さらに、長男は科学教室に通い、二男は将棋を習っていました。これらの習い事についても、今後続けるかどうかなど、その具体的な進め方の決定に、私は加われないことになります。また、教育の国際化が進む現在では、若い世代が外国に留学をすることもあると思います。子ども達が留学し、外国で生活をするかどうか、どの国でどのようなことを学ぶかなどの決定についても、私は関わることができません。
本来、父母の離婚後に子ども達がどこに住むか、あるいはどのような教育を受けるかといったことは、子ども達にとって何が最適かという観点から、父母が話し合って決めることが、子ども達の福祉に最も資することだと思います。私と元配偶者も、事前に合意形成のルールについて何らかの取り決めをしたり、あるいは第三者等の助言を得ることにより、子ども達の教育について冷静に話し合い、合意に達することは可能であると思いますし、またそうすることが必要であると思います。
「離婚したのだから、話し合いをすることはできない」もしくは「話し合いは困難である」との考えは不当であると思います。なぜならば、話し合いを実現する手段はいくつも存在するからです。海外では、離婚後に話し合いをする親の心得について、教育するプログラムがあると聞いています。そのようなプログラムがあるのなら、それを受けたいと思います。もし合理的な理由もなく、「離婚後は子どもの育て方について元妻や元夫と話し合いは一切しない。そのための努力もしない」という親がいるとすれば、その人は親権者としては適格性を欠くということになるでしょう。強制単独親権制度では、離婚後の父母は、子どものための話し合いをする努力をする機会すら与えられません。「離婚をしたのだから、話し合いをすることはできないだろう」もしくは「話し合いは困難であろう」との偏見に基づいて、離婚後、一方の親の親権が一律かつ全面的に奪われてしまうのです。これが子どもの福祉の観点から不合理であることは明白だと思います。
前述の通り、元配偶者は私との離婚後に長男と二男を少年野球チームに加入させましたが、一般的に、子どもを少年野球に通わせる場合には、保護者の練習への長時間付き添いや練習のサポート等の負担が大きく、元配偶者が今後、その負担に一人で耐えられるかについては懸念しています。もし私が離婚後も共同親権を有し、少年野球への加入に関する決定に直接加わっていたなら、私がその負担を分担することもできたでしょう。しかし、私は子ども達が加入している野球チームと一切関わることができておらず、また面会交流時間が限られていることから、子ども達が野球教室へ通うことに伴う元配偶者の時間的負担を私が分担することはできません。子ども達の養育の負担を分担し、元配偶者の負担を軽減するうえでも、私が習い事等に関する決定に加わることは必要であると思います。
2 小学校での非親権者の扱い
私は、子ども達が通う小学校に対して、学校行事等に関する連絡をしてほしい旨を要望しましたが、小学校は、私が離婚成立前の共同親権者であった時点から、私を親権者としては扱わず、学校行事に関する連絡は元配偶者を通じて受け取るように私に求めました。離婚が成立し、私が親権を失った現在では、小学校から学校行事に関する連絡を受けることは不可能であり、実際に学校からの連絡はありません。小学校側は、私は「親権者ではないので連絡する必要がない」という考えなのです。
私と元配偶者との間で行われた面会交流審判において、元配偶者は、私が子ども達の学校行事に参加することを認めるように義務付けられました。しかし元配偶者はその後も審判に反し、授業参観など学校行事の日時や場所に関する通知を十分に知らせなかったため、私は授業参観等の子ども達の学校行事の一部について、参加することができていません。
本来、子ども達の成長を学校で直接見て確認すること、そして、それによって親として喜びを感じることは、親として当然に享受できるべきことではないかと思います。しかし今の法律によれば、離婚後に親権者としての立場を手に入れられるかどうかで、親としての喜びを享受できるかどうかが決まってしまうのです。子ども達の親権を失った