離婚後に子供が両親と時間を過ごせるように
作花共同親権訴訟
離婚後単独親権違憲訴訟
お知らせ
- 2024/11/27 作花知志先生が別訴・支援措置訴訟で勝訴
- 2024/5/17 国会で離婚後共同親権制度の改正民法が成立
- 2023/4/18 法制審議会家族法制部会が離婚後共同親権制度の導入で合意
- 2022/9/28 本訴訟の最高裁審理が終了
- 2022/4/10 『令和3年度重要判例解説』(有斐閣)に本訴訟第一審が掲載
- 2021/8/14 裁判所HPの裁判例検索に本訴訟第一審が掲載
- 2021/8/1 『法学教室』(有斐閣)2021年6月号に本訴訟第一審が掲載
- 2021/3/5 作花知志先生が週刊エコノミスト「弁護士が選ぶ弁護士ランキング(家族問題分野)」で1位に選出
- 2021/2/17 本訴訟第一審判決
- 2019/3/26 本訴訟を東京地裁に提起
声に出して読みたい「親権と基本的人権」
親である父又は母による子の養育は,子にとってはもちろん,親にとっても,→
子に対する単なる養育義務の反射的な効果ではなく,独自の意義を有するものということができ,そのような意味で,→
子が親から養育を受け,又はこれをすることについてそれぞれ人格的な利益を有すということができる
――東京地裁「作花共同親権訴訟判決」松本真裁判官(令和3年2月17日)――
親である父と母が離婚をし,その一方が親権者とされた場合であっても,他方の親(非親権者)と子の間も親子であることに変わりがなく,→
当該人格的な利益は,他方の親(非親権者)にとっても,子にとっても,当然に失われるものではなく,また,失われるべきものでもない
――東京地裁「作花共同親権訴訟判決」松本真裁判官(令和3年2月17日)――
親の未成年者子に対する親権は,憲法24条2項や憲法13条により保障されている基本的人権である。
――作花共同親権訴訟「訴状」4頁――
子どもの教育は、その最も始源的かつ基本的な形態としては、→
→ 親が子との自然的関係に基づいて子に対して行う養育、監護の作用の一環としてあらわれるのである。
――最高裁大法廷「旭川学習テスト事件判決」村上朝一裁判長(昭和51年5月21日)――
子どもの育成および教育は、両親の自然的権利であり、かつ、何よりもまず両親に課せられている義務である。
――ドイツ憲法6条(2)――
児童がその父母の意思に反してその父母から分離されないことを確保する。
――国連子どもの権利条約9条1項――
「基本的人権」とは,人が人として生まれたことで当然に有する権利であり,それは国が初めて与えた権利でも,憲法が初めて与えた権利でもない。 →
→ 憲法はただその人が有する「基本的人権」を確認しているにすぎない。
――作花共同親権訴訟「原告準備書面(2)」48頁――
元来親権は、血縁関係に基づく親の未成年の子を養育するという人類の本能的生活関係を →
→ 社会規範として承認し、これを法律関係として保護することを本質とするものである。
――東京高裁「親権者変更請求抗告事件決定」大江保直裁判長(昭和30年9月6日)――
子どもを養育し、訓育し、教育することは、その子どもが婚姻外で生まれたものであっても、両親の義務であり、権利である。
――イタリア共和国憲法30条1項――
父母の一方又は双方から分離されている児童が定期的に父母のいずれとも人的な関係及び直接の接触を維持する権利を尊重する。
――国連子どもの権利条約9条3項――
離婚とはあくまでも夫婦間における法律上の夫婦関係を解消するための法律制度である。 →
→ そして,夫婦関係の解消は親と未成年者子との親子関係の終了を意味しない。
――作花共同親権訴訟「訴状」9頁――
子を産み育てるかどうかを意思決定する権利は、子を産み育てることを希望する者にとって幸福の源泉となり得ることなどに鑑みると、 →
→ 人格的生存の根源に関わるものであり、憲法上保障される個人の基本的権利である。
――仙台地裁「強制不妊訴訟判決」中島基至裁判長(令和元年5月28日)――
親は、子の教育及び扶養の権利及び義務を有する。
――ポルトガル憲法36条5項――
子どもの共同監護権を認める目的で、離婚後の親子関係について定めた法律を改正するよう、日本に対し勧告する。
――2019年国連子どもの権利委員会総括所見:日本(第4~5回)27条――
子供に暴力を振るう者がいるとしても, 暴力を振るわない者の親権を奪うことは許されない。
――作花共同親権訴訟「原告準備書面(2)」31頁――
親権者の監護教育権は、親が子に対して有する前国家的・始原的な自然権であると見られる。
――『新版注釈民法(25)』(有斐閣 改訂版 2004年)69頁――
子どもに対する配慮およびその養育は、親の平等な権利および義務である。
――ロシア連邦憲法38条2項――
締約国は、婚姻中及び婚姻の解消の際に、婚姻に係る配偶者の権利及び責任の平等を確保するため、適当な措置をとる。 →
→ その解消の場合には、児童に対する必要な保護のため、措置がとられる。
――国際人権規約(自由権規約)23条4項――
離婚後単独親権制度は,未成年者子の権利の観点からすると,「成人するまで,両親のいずれとも同様に触れあいながら,成長する権利」を奪うものである。
――作花共同親権訴訟「原告準備書面(1)」22頁――
子にとっては自ら選択ないし修正する余地のない事柄を理由としてその子に不利益を及ぼすことは許されず, →
→ 子を個人として尊重し,その権利を保障すべきであるという考えが確立されてきている。
――最高裁大法廷「非嫡出子相続分規定違憲決定」竹崎博允裁判長(平成25年9月4日)――
締約国は、児童の養育及び発達について父母が共同の責任を有するという原則についての認識を確保するために最善の努力を払う。
――国連子どもの権利条約18条1項――
父母の間で適時な合意を形成することができない「おそれ」がない場合には、離婚後単独親権とする理由そのものがない。
――作花共同親権訴訟「原告準備書面(1)」27頁――
離婚後単独親権制度が、子の福祉の立場からみて、妥当か否かは、すこぶる疑問である。 →
→ 離婚により、夫婦の絆は断たれても、親子の監護の絆は断たれてはならない。
――『新版注釈民法(25)』(有斐閣 改訂版 2004年)19頁――
国連子供の権利委員会は日本に対し、国内法をハーグ条約と調和させ、かつ、子どもの返還および面会交流権に関する司法決定の適正かつ迅速な実施を確保するために、 →
→ あらゆる必要な努力を行なうよう勧告する。
――2019年国連子どもの権利委員会総括所見:日本(第4~5回)31条――
子との面接交渉権は,親子という身分関係から当然に発生する自然権である親権に基き,→
→ これが停止された場合に,監護に関連する権利として構成されるものといえるのであって, →
→ 親としての情愛を基礎とし,子の福祉のために認められるべきものである。
――静岡地裁浜松支部「慰謝料請求事件判決」宗哲朗裁判官(平成11年12月21日)――
離婚後単独親権制度を採用している民法819条2項は,「ひとり親」という呼び方を社会で生み,その結果,「ひとり親」の子であるとして,子が差別を受けている点において,→
子の基本的人権を侵害する事態を生み合理性がなく,憲法13条,憲法14条1項,憲法24条2項に違反することは明白である。
――作花共同親権訴訟「原告準備書面(5)」28頁――
(離婚後単独親権制度では)監護実績を作るために子との同居を確保し,別居親に会わせない,実力行使で子を連れ去るといった事態が生じることがある。→
→親権者になれないと,子と会うことができなくなるのではないかという不安が,親権争いをより熾烈にする。子は父母の深刻な葛藤に直面し,辛い思いをする。
――二宮周平『多様化する家族と法Ⅱ』(株式会社朝陽会 2020年)47-49頁――
本訴訟の審理経過
第1審(東京地裁)判決(2021/2/17)
※裁判所HPに掲載された判決書はこちら
(判決抜粋)
1 主文
原告の請求を棄却する。
2 理由
(憲法13条違反について)親の子に対する親権は,憲法13条が保障する基本的人権ではない。ただし、離婚後に親子が触れ合うことは親と子それぞれにとっての人格的利益であり、離婚によって損なわれてはならない。
(憲法14条、24条2項違反について)離婚後共同親権制度を採用するかどうかは国会の立法裁量である。
第1審(東京地裁)第5回期日(2020/11/11)
🐶原告(X) 準備書面(2) 甲41 準備書面(3) 準備書面(4) 準備書面(5)
原告「離婚後単独親権制度は、自然権である基本的人権を侵害しており違憲である。ドイツやルクセンブルクでは、単独親権制度に違憲判決が出され、大多数の国では既に離婚後共同親権が原則となっている。単独親権制度は、子供の基本的人権も侵害する。一方の親から引き離された子供は、見捨てられたと感じて深く傷つき、心理的発達面で悪影響を受けていることが科学的研究で明らかになっており、『ひとり親の子供』と呼ばれて社会的に差別されている現状も報告されている。親権の奪い合いにより、子供の命が奪われる事件も起きている。
🐘被告国(Y) 第3準備書面
🐘被告国(Y) の発言
被告国「9月17日付の原告『準備書面(5)』への反論が間に合わず、検討しているところなので、反論のためもう一期日いただきたい」
(裁判長は合議のうえこれを却下し、結審を宣言)
離婚後の共同親権制度を導入する改正民法が成立しました
2024/5/17
原告
私(原告)が共同親権と憲法の問題について意識するようになったのは、今から約9年前の、2015年12月16日のことです。この日は最高裁大法廷で「夫婦同姓制度は合憲である」との判断がされた日でした。ニュースを見ながら「夫婦同姓の問題は、離婚後単独親権の問題と同じなのではないか」と感じました。夫婦同姓制度は、結婚する夫婦の一方の名字を一律・強制的に奪うものですが、離婚後単独親権制度は、離婚する夫婦の一方の親権を一律・強制的に奪うものだからです。その後、幸運にも弁護士の作花知志先生に巡り会い、「離婚後単独親権制度は違憲である」という国家賠償訴訟を提起することができました。
本日、国会で離婚後共同親権制度導入の改正民法が可決・成立したことは、大変喜ばしいことです。これにより、両親の離婚に際して、お母さんやお父さんとの関係を断たれても声をあげることすらできなかった子どもたちや、子どもとの関係を断たれたお母さん、お父さん方が少しでも慰められ、離婚による親子生き別れの悲劇がこれ以上起きなくなることを願っています。
ただし、離婚後共同親権制度は、「導入すればそれで離婚にまつわる問題がすべて解決する」というようなものではないと思います。離婚後共同親権制度は、単独親権制度と比べるとメリットが非常に大きく、デメリットが小さい制度ですが、デメリットを最小化するためには、現行の制度よりも緻密な実務上の制度設計や運用が必要です。また、共同養育をしようとする当事者やその支援者の意識も重要です。共同養育がうまくいくかどうかは、両親を含む大人が、大人としての責任感を持って、自分の利益ではなく子どもの利益を中心に考えて行動することができるかどうかにかかっているからです。最も弱い立場にある子どもの利益を守るのは道義的に当然のことです。そして現実的に考えても、離婚した両親が共同養育をするために確実に共有できる目標は、「子どもの利益を守る」というただ一点しかありません。
最後になりますが、この共同親権訴訟の訴訟代理人を引き受けてくださった、作花先生に、この場を借りて改めて感謝を申し上げたいと思います。共同親権訴訟により、「子どもの養育は親子双方にとって人格的利益である」という裁判所の判断を得ることができ、また離婚後単独親権制度の問題を世に提起するという点でも、離婚後共同親権制度の導入に貢献ができたと感じています。本当にありがとうございました。
―――
A lawsuit asking the court to judge that nonexistence of joint custody system after divorce in Japan is unconstitutional
(東京地裁平成31年(ワ)第7514号、東京高裁令和3年(ネ)第1297号 最高裁令和4年(オ)第400号 最高裁令和4年(受)第497号)
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